No.016 命数法とSI接頭語

数の単位といえば、一、十、百、千、万、億、兆が有名ですね。
このような数の単位を十進の命数法といいます。
しかし、これにはまだ続きがあります。

日本で最初の算術書「塵劫記」に書いてあります。
この本は1627年(寛永4年)に吉田光由さんが中国数学を日本風に改めたものです。
ちなみに著作権は50年で無効になるので、この本は引用してもいいということです。

では紹介します。

(いち) 1
(じゅう) 10
(ひゃく) 102
(せん) 103
(まん) 104
(おく) 108
(ちょう) 1012
(けい) 1016
(がい) 1020
(じょ) 1024
(じょう) 1028
(こう) 1032
(かん) 1036
(せい) 1040
(さい) 1044
(ごく) 1048
恒河沙(こうがしゃ)(ごうがしゃ) 1052
阿僧祇(あそうぎ) 1056
那由他(なゆた) 1060
不可思議(ふかしぎ) 1064
無量大数(むりょうたいすう) 1068

これが一番、一般的な命数法です。
また、無量大数(むりょうたいすう)を、無量(むりょう)と大数(たいすう)に分ける説もあります。
これは塵劫記の文章をどこで区切るかの解釈の違いによるものだと思われます。

また、(じょ)は(し)とされる場合もあります。
実は、同じ塵功記でも初版のほうは(じょ)でしたが、終版のほうは(し)になっています。
いまのところは(じょ)が一般的な字として使われていますが、
百科事典では(し)を扱ってるのが多いです。
なお、この字はパソコンでは出すことができないので画像で表示しています。

ちなみに、小数点以下の言い方もあります。
0.1の単位を(ぶ)。0.01の単位を(りん)といいます。

なお、下の表では10-2のような表現をしますので、
これは、0.01。小数点以下第二位を表しています。
10-3なら0.001です。このことをよく覚えといてください。

(ぶ) 10-1
(りん) 10-2
毫(毳)(毛)(ひゃく) 10-3
絲(糸)(し) 10-4
(こつ) 10-5
(び) 10-6
(せん) 10-7
(しゃ) 10-8
(じん) 10-9
(あい) 10-10
(びょう) 10-11
(ばく) 10-12
糢糊(もこ) 10-13
逡巡(しゅんじゅん) 10-14
須臾(しゅゆ) 10-15
瞬息(しゅんそく) 10-16
弾指(だんし) 10-17
刹那(せつな) 10-18
六徳(りっとく) 10-19
虚空(きょくう) 10-20
清浄(せいじょう)(しょうじょう) 10-21

虚空(きょくう)や清浄(せいじょう)は、
(きょ)・(くう)・(せい)・(じょう)の4つに分ける場合もあります。
これも塵劫記の文章をどこで区切るかの解釈の違いによるものだと思われます。

ちなみに管理人は今まで刹那(せつな)を殺那と思っていました^^;

次は、SI接頭語についてです。

えすあいせっとーご??
...なんて疑問に思う人も多いと思いますが身近なものです。

例えば、km(キロメートル)の「k(キロ)」や、「dl(デシリットル)」の「d(デシ)」です。
「m(メートル)」や、「l(リットル)」などの基本単位の上についてその数の何倍かを示すものがSI接頭語です。
「km(キロメートル)」の「k(キロ)」は、1000倍を示すので、1km(キロメートル)は1m(メートル)の1000倍の1000m(メートル)です。
「dl(デシリットル)」の「d(デシ)」は、10分の1倍を示すので、1dl(デシリットル)は、1l(リットル)の10分の1倍の0.1l(リットル)です。

他にも、c(センチ)や、m(ミリ)など、よく耳にするものばかりです。

では、どんなSI接頭語があるかみてみましょう。

チキ Ch 1039 chici
グミ Gm 1036 gummi
ゼッピ Zp 1033 zeppi
グルーチ Gc 1030 grouchi
ハーピ Hr 1027 harpi
ヨタ Y 1024 yotta
ゼタ Z 1021 zetta
エクサ E 1018 exa
ペタ P 1015 peta ギリシャ語で「5」の意味の「penta」
テラ T 1012 tera ギリシャ語で「怪物」の意味の「teras」
ギガ G 109 giga ギリシャ語で「巨人」の意味
メガ M 106 mega ギリシャ語で「大きい」「巨人」の意味
キロ k 103 kiro ギリシャ語で「千」の意味の「chilioi」
ヘクト h 102 hecto ギリシャ語で「百」の意味
デカ da 10 deca ギリシャ語で「十」の意味
デシ d 10-1 deci ラテン語で「十番目」の意味の「decimus」
センチ c 10-2 centi
ミリ m 10-3 mili ラテン語で「千」の意味の「mille」
マイクロ μ 10-6 micro ギリシャ語で「微小」の意味の「mikros」
ナノ n 10-9 nano ラテン語で「小人」の意味
ピコ p 10-12 pico ラテン語で「とがった先」の意味
フェムト f 10-15 femto デンマーク語で「15」の意味
アト a 10-18 atto
ゼプト z 10-21 zepto
ヨクト y 10-24 yocto
ハーポ hr 10-27 harpo
グルーチョ gc 10-30 groucho
ゼッポ zp 10-33 zeppo
グモ gm 10-36 gummo
チコ ch 10-39 chico

ちなみに管理人は「デカ」は、日本語の「でっかい」が由来だと思ってました(^^;

あ、そうそう。
さっきから言ってる、SI接頭語の「SI」はなにかというと...
フランス語の「Système International d'unités」のことです。
これは、国際単位系の別称です。

つまり、このSI接頭語は国際的に認められている単位なのです。

つづいては英語の数の単位です。
英語では無量大数よりも上の数があります。日本よりレベルが上ですね。

one(ワン) 1
ten(テン) 10
hundred(ハンドレッド) 102
thousand(サウザンド) 103
million(ミリオン) 106
billion(ビリオン) 109
trillion(トリリオン) 1012
quadrillion(クアッドリリオン) 1015
quintillion(クインティリオン) 1018
sextillion(セックスティリオン) 1021
septillion(セプティリオン) 1024
octillion(オクティリオン) 1027
nonillion(ノーニリオン) 1030
decillion(ディッセリオン) 1033
undecillion(アンデシリオン) 1036
duodecillion(デュオディシリオン) 1039
tredecillion(テュリディシリオン) 1042
quattuordecillion(クアットディシリオン) 1045
quindecillion(クインディシリオン) 1048
sexdecillion(セックスディシリオン) 1051
septdecillion(セプトディシリオン) 1054
octodecillion(オクトディシリオン) 1057
nondecillion(ノーンディシリオン) 1060
vigintillion(ヴィギンティリオン) 1063
unvigintillion(アンヴィギンティリオン) 1066
duovigintillion(デュオヴィギンティリオン) 1069
trivigintillion(テュリヴィギンティリオン) 1072
quattuorvigintillion(クアットヴィギンティリオン) 1075
quinvigintillion(クインヴィギンティリオン) 1078
trigintillion(テュリギンティリオン) 1093
googol(グーゴル) 10100
cenntillion(センテュリオン) 10303
milliillion(ミリリオン) 103003
millimillion(ミリミリオン) 103000003
nanillion(ナニリオン) 103000000003
picillion(ピキリオン) 103000000000003
mecillion(メシリオン) 103000000000000000000000000000000003
triacontillion(テュリアコンティリオン) 103…0が90個…3
googolplex(グーゴルプレックス) 103…0が100個…3
hectillion(ヘクティリオン) 103…0が300個…3
killillion(キリリオン) 103…0が3000個…3
megillion(メギリオン) 103…0が3000000個…3
gigillion(ギギリオン) 103…0が3000000000個…3
terillion(テリリオン) 103…0が3(0が12個)個…3
mekillion(メキリオン) 103…0が3(0が33個)個…3
twentillion(テュウェンティリオン) 103…0が3(0が60個)個…3
googolduplex(グーゴルデュプレックス) 101…0が1000個
hundrillion(ハンドリリオン) 103…0が3(0が300個)個…3
thousillion(サウジリオン) 103…0が3(0が3000個)個…3
googolplexplexplex(グーゴルプレックスプレックスプレックス) 101…0が10000個

これはアメリカ英語の場合で、ヨーロッパ諸国で使われる英語では単位は異なってきます。
上の表で、センチュリオンとグーゴルは二硫化タングステンさんとゼブラヘッドさんに情報提供していただきました。

ここで紹介したのは一般的なアメリカ式の大数ですが、
古代中国の書物などを見ると、ものすごい莫大な数があったりするんです。
世界広しというように、上には上があるのです。
そこで、googolplexplexplex以上に大きい数については、
http://www.geocities.jp/yu_yu55jp/suuken.htmを参照してください。

ところで、数を書くときに「1,000,000」のように書く人がいますよね。
電卓でも、「,」が表示されるのがほとんどです。
「,」は3桁ごとに打つものですが、これは上の表の英語の単位によるものです。
英語の数の単位は3桁ごとにあります。なので、この「,」はもともと英語のものです。

ちなみに、小学校の算数では、日本語の数の単位が4桁ごとにあるので、
算数の授業では、4桁づつ区切るように教えられます。

ちなみに、10100を意味する 「googol」 (グーゴル)を、
検索サイトである 「Google」 (グーグル)と間違える人がいますが、
実は、「Google」の語源が「googol」なんです。     (情報提供:pooch氏)

膨大な量の情報を組織化するという意味で、
膨大な数である「googol」をもじったのです。

ちなみに、「googol」は、アメリカの数学者エドワード・カスナーの
9歳の甥であるミルトン・シロッタによって造られた言葉です。(1938年)

尚、2005年5月7日現在、Googleに登録されているサイト数は、
8,058,044,651
1googol件まで、まだまだです・・・。

Googleで、「googol」と検索すると、
Google電卓機能によって、

と表示されます。

このGoogle電卓機能は、意外に知られていない機能で、
しかも、ものすごくハイテクな機能です。普通の電卓とはレベルが違います。

「1+1」で検索すると、1 + 1 = 2
こんなのは余裕です。

「8cm*6cm」で検索すると、(8 centimeters) * 6 centimeters = 0.0048 m2
cm2
での計算結果が欲しいならば、「8cm*6cm in cm^2」で検索すると、
(8 cm) * 6 cm = 48 cm^2

円周率が知りたいなら「pi」で検索すると、pi = 3.14159265

ローマ数字を使って「6*20」を検索したいときは、「VI*XX」で検索すると、
VI * XX = CXX

1カップが何リットルか知りたいときは、「cup in litre」で検索すると、
1 US cup = 0.236588237 litre

大さじ一杯が小さじ何杯か知りたいときは、「tablespoon in teaspoon」で検索すると、
1 US tablespoon = 3 US teaspoon

1024の十乗根が知りたいときは、「tenth root of 1024」で検索すると、
tenth root of 1
024 = two

コサイン85°が知りたいなら、「cosine(85)」で検索すると、cosine(25) = 0.991202812

「planck's constant」(プランク定数)、「Euler constant」(オイラー定数)、
「Avogadro's number」(アボガドロ数)、「speed of light」(光速)などを検索してもOKです。

地球の半径とかもGoogle電卓なら計算できます。
例:「radius of the sun/radius of the earth」 → radius of the sun / radius of Earth = 109.045013

さらに、オームの法則だって使えますし、複素数だって、三角関数だってできます。
ここでは紹介しきれません。ご自分でいろいろ試してみてください。
(但し、少々英語能力が必要となりますが)

単位換算は、「○○ in △△」でできるということぐらい覚えておけばいいでしょう。
例:「1terabyte in byte」 → 1 terabyte = 1
099 511 627 776 byte
 
  「1speed of light in km/year」 → 1 * the speed of light = 9.4605284 × 1012 kilometers / year
 
  「Avogadro's number in mol」 → Avogadro's number = 1 moles

すごい!すごすぎるよ。Google電卓。
「answer to life the universe and everything」(人生、宇宙、すべての答え)にも答えてくれます。
answer to life the universe and everything = 42
これは、『宇宙クリケット大戦争』(原作:ダグラス・アダムズ)に出てくるジョークです。
「人生、宇宙、すべての答え」に対し、コンピュータが750万年間かけて出した答えが、
「42」だけだった。 という
宇宙が奇異で、非理性的なものであることを意味したジョークです。
ちなみに、「42」には特に意味はありません。
そんなジョークのも答えるGoogle電卓、すごすぎです。

でも、そんなにすごいGoogle電卓にも弱点があります。
「7-11」ができないことです。
実際にやってみてください。「セブンイレブン」が検索されてしまうんです。
※「7+(-11)」とすれば、ちゃんと「-4」という答えを出してくれます。

since 2003/6/26
2003/12/22  「小学校で習う、歩合(割合)とは別物ですので注意。」を消去。
「これ塵劫記の文章をどこで区切るかの解釈の違いによるものだと思われます。」
タイトルを「No.016 命数法
とSI接頭語」に変更。
2004/1/30 英語の数の単位を追加
2004/2/1 英語の数の単位を大更新
2005/5/8 「ここで紹介したのは〜参照してください。」を加筆。
GoogleとGoogle電卓について記述。

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