No.036 君が代

日本国民なら誰もが知っている日本の国歌「君が代」。
この歌はもともと古今和歌集に載っていた歌です。
古今和歌集は紀貫之(きのつらゆき)・紀友則・凡河内躬恒(おおしこうちのみつね)・壬生忠岑(みぶのただみね)が、
有名な和歌を集めたものです。905年にできた本で、全部で20巻にわたり、約1100首の和歌が載ってます。

さて、この古今和歌集の第7巻『賀歌』の一番初めに載っているのが、「君が代」です。
「題しらず(題名不明)」「読み人しらず(作者不明)」と書かれています。
その後、新撰和歌集や和漢朗詠集などにも載せられてきました。
仏事・神事などにも歌われてきました。

この歌に曲がつけられたのは、1869年10月頃です。
横浜に英国公使館の護衛に来ていたイギリス歩兵隊の軍楽長のジョン・ウィリアム・フェントンが、
「儀礼音楽が必要だから、何かふさわしい曲を選んだらどうでしょうか。」と、薩摩藩の大山巌(いわお)に言いました。
そして、大山はみんなと相談し、大山のお気に入りの琵琶歌「蓬莱山」に引用されている「君が代」を選びました。
曲の中に「巌となりて」の「巌」が、自分の名前と同じだったから気に入ってたんでしょうか(笑)
そして、作曲はジョン・ウィリアム・フェントンがしました。

しかし、フェントンはイギリス人。日本らしい音楽ではなかったので、
1880年、一等伶人(一流雅楽奏者)の林広守が曲を作り直しました。
そして、ドイツの音楽家のフランツ・エッケルトが洋楽の和音をいれて曲をすばらしくしました。

では、どんな歌詞なのか見てみましょう。

君が代
作詞/不明
作曲/J.W.フェントン 林広守 F.エッケルト

1.君が代は 千代に八千代に 細石の巌となりて 苔の生すまで
(きみがよはちよにやちよにさざれいしのいわおとなりてこけのむすまで)

2.君が代は 千尋の底の 細石の鵜のいる磯と あらわるるまで
(きみがよはちひろのそこのさざれいしのうのいるいそとあらわるるまで)

以外なことに2番があるんです。2番は源頼政が読んだ和歌です。
しかし、この歌は難しい言葉ばかりですね。
というわけで、現代版に直してみました。

現代版 君が代
作詞/フレッシュワーズ

1.日本国民が平和でありますように ずっとずっと 小石が岩になるまで 苔が生えるまで

2.日本国民が平和でありますように ずっとずっと 小石が鵜のいる磯になり 海面に現れるまで

つまり、日本国民の永久の平和を願う歌だったんです。
こんなことを知らずにうたっていた人も結構多いと思います。

「君が代」の本来の意味は、「天皇の治めているこの日本国が平和でありますように」ですが、
第二次世界大戦前の天皇主権の時代の意味で、
現在は、国民主権なので、「日本国民が平和でありますように」と解釈されています。

ちなみに日本国民の永久の平和は、日本国憲法前文第二段にあります。
「日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、
平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。
われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、
名誉ある地位を占めたいと思ふ。
われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。」

こうして「君が代」の願いは、1947年に無事かないました!!

since 2003/11/28
2003/11/28 「日本国憲法前文第二段落目」を訂正。
「君が代」の本来の意味を加筆。

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