No.037 視力検査の「C」

みなさん必ずやったことがある視力検査
今まで「C」の意味も知らずに視力検査を受けていたんじゃありませんか?
というわけで今回は視力検査を追求してみます!!

そもそも視力とは何か?
それは、眼で2つの点を区別できる能力のことです。

では、次は「C」について、
実はこれはアルファベットの「C」とは全く関係してません。
これはランドルト環といいます。
フランスの眼科医Edmund Landolt(エドマンド・ランドルト(1846〜1926)に由来します。

普通、視力検査は5mの距離から行なうものです。
太さ1.5mm、切れ目1.5mm、直径7.5mmの「C」を視力1.0と国際的に定めています。
1909年にナポリで開かれた第11回国際眼科学会で国際的に視力検査に用いられるようになりました。

上の図が、さきほど言った視力1.0のランドルト環です。
この大きさが1.0と決められたのは、5mはなれたところから切れ目を見ると視角が1/60度(1分)になるからです。
実はランドルト環の輪にはたいして意味はなく、切れ目のところに意味があるんです。

また、背景は白、ランドルト環は黒と決まってます。

他の視力のランドルト環の大きさはどうなるか?
視力2.0のランドルト環は、視力1.0のランドルト環の半分になります。
視力0.5のランドルト環は、視力1.0のランドルト環の二倍になります。

すなわち、反比例の関係が成り立っています。

また、公式としてランドルト環の直径は「7.5mm÷視力」、太さと切れ目は「1.5mm÷視力」です。

では、視力0.02のランドルト環はどうかというと、
直径が、7.5÷0.02=375(mm)。切れ目が、1.5÷0.02=75(mm)。
かなり大きめのランドルト環になってしまいます。

すると、視力検査装置の画面に収まらなくなるということがおきます。
それを防ぐために、視力が悪かったら視力検査装置に近づかせます。
近づくことにより、ランドルト環が近づいた分小さなものですみます。
5m地点から、3m地点に近づいた場合、大きさは3/5になります。
つまり、視力0.02のランドルト環は5m地点では直径375mmだったが、1m地点では75mmですみます。

では、さきほどの公式に検査する距離を加えると、
ランドルト環の直径は「7.5mm÷視力×(測定距離÷5)」、太さ・切れ目は「1.5mm÷視力×(測定距離÷5)

ちなみに視力は起きてから寝るまでの間に徐々に低下します。
というわけで視力検査は朝のうちがいいです。

普通、視力検査は裸眼視力だけを測定しますが、メガネやコンタクトレンズなどで矯正してる人は矯正視力も測定します。
最近の学校での視力検査は数値ではなく、A、B、C、D、の4段階で記録されることが多いです。

A:1.0〜   (教室での勉強に支障なし)
B:0.7〜0.9 (教室での勉強に不便なことがある)
C:0.3〜0.6 (教室での勉強に不便なことが多い)
D:〜0.2   (教室での勉強に不便あり)

また、視力表に載ってるランドルト環は、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.5、2.0の12段分載っています。
測定距離を変えることにより、視力0.05でも、2.5でも、なんでも測れます。

眼鏡屋でめがねを作ったとき、店員がメモ帳になにやら計算をしていました。
実は眼鏡屋は「ディオプトリ」という単位を使ってます。眼鏡のレンズの屈折率を表す単位で「D」と書きます。
レンズの焦点距離をメートル単位で表したものの逆数です。
レンズの焦点とは、レンズに入ってきた光線がレンズにより屈折されて像を結ぶ点です。
つまり、レンズの焦点距離が0.8m(=2/5m)の場合、その逆数は2.5(=5/2)なので、ディオプトリは2.5Dです。

眼鏡レンズには光を一転に集め拡大鏡の役割を果たし老眼鏡などに用いられる凸レンズと、
光を集散させる役割を果たし近視矯正などに適している凹レンズがあります。
凸レンズの場合、ディオプトリは正。凹レンズだと、ディオプトリは負の値になります。

簡単な公式で表すと、凸レンズのディオプトリは「1÷レンズの焦点距離」、凹レンズは「-1÷レンズの焦点距離」。

さて、わざわざあまり身近に経験したことのないディオプトリについて話したのには、「度」のことについてふれるためです。
眼鏡のレンズが強いとき「度が強すぎる」「度が弱い」「度がきつい」とか言いますよね。
では、「」とは何なのか?
これは焦点距離をインチ(0.0254m)であらわしたものです。
つまり、凸レンズの度は「1÷ディオプトリ×10000÷254」。凹レンズは「-1÷ディオプトリ×10000÷254」。
というわけで、「度がきつい」というのは、ディオプトリの絶対値が大きいということです。

ところで、視力が悪いと何かと生活に困りますよね。
中央競馬の競馬学校は、両眼とも0.8以上の裸眼視力ないと受験できません。
また、これは知ってる人が多いと思いますが、
運転免許証を取得するには、片眼が0.3以上、両眼で0.7以上の視力がないとダメなんです。
競馬学校受験とは違い、運転免許証取得は矯正視力(メガネ・コンタクトレンズ使用)でも良いです。

では、ここからは応用です。
月から視力検査はできるのか?
というわけで、月から地球を見たときの視力1.0のランドルト環の大きさはどのくらいかを求めてみましょう!
月は地球の衛星で、地球から約38万kmはなれています。
というわけで、公式に代入してみましょう。

ランドルト環の直径は「7.5mm÷視力×(測定距離÷5)」なので、
7.5÷1.0×(380000000÷5)=570000000。
つまり、直径は570km。

太さ・切れ目は「1.5mm÷視力×(測定距離÷5)」なので、
1.5÷1.0×(380000000÷5)=114000000。
つまり、太さと切れ目は114km。

残念ながら、こんな巨大なランドルト環作成は無理です。

東京タワーの頂上(333m)からなら、直径500m、太さ・切れ目100mのランドルト環で視力1.0が測れます。
富士山(3776m)なら、直径5664m、太さ・切れ目は1332.8m。

視力検査をパソコン上でできるサイトをみつけました。
FLASH視力検査表」サマです。
FLASHが見れない人は「視力検査表」サマへ。

since 2003/12/13
2004/8/30 月までのランドルト環の計算結果をminさんの指摘により訂正

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