No.055 「111」は「3」の倍数

タイトルにもある「111」。この数字を見て「3」で割り切れると一瞬でわかる人は少ないはず。
しかし、ある方法を使うと、すぐに「3」の倍数だとわかります。

その方法とは「倍数判別法」です。
簡単にある数の倍数かどうかを判別できる方法です。

2の倍数…下1桁が2で割り切れる。
3の倍数…各位の和が3で割り切れる。
4の倍数…下2桁が4で割り切れる。
5の倍数…下1桁が0か5。
6の倍数…2の倍数であり、3の倍数である。
9の倍数…各位の和が9で割り切れる。
10の倍数…下1桁が0。

この倍数判定法は一般的に知られているものです。
しかし、「なぜこの方法でできるのか?」と聞かれたら、説明できるだろうか。

実際にこのようなことを説明する「整数論」の証明問題は入試などにも出ていることがあります。

 

では、まず「2の倍数判定法」の証明をしてみましょう。

 簡単のため、3桁の整数について考える。
 100の位の数をa、10の位の数をb、1の位の数をcとすると、
 3桁の整数は100a+10b+cと表わせる。
  100a+10b+c = 2(50a+5b)+c
 2(50a+5b)は2の倍数なので、cが2の倍数ならば、
 3桁の整数100a+10b+cは2の倍数である。
 よって、下1桁が2で割り切れたら、その数は2の倍数である。

この証明は結構簡単ですね。

 

次は、「3の倍数判定法」「9の倍数判定法」の証明をしてみましょう。

 簡単のため、3桁の整数について考える。
 100の位の数をa、10の位の数をb、1の位の数をcとすると、
 3桁の整数は100a+10b+cと表わせる。
  100a+10b+c = 99a+a+9b+b+c
           = 3(33a+3b)+(a+b+c)
 3(33a+3b)は3の倍数なので、a+b+cが3の倍数ならば、
 3桁の整数100a+10b+cは3の倍数である。
 よって、各位の和が3で割り切れたら、その数は3の倍数である。
 また、3(33a+3b)+(a+b+c) = 9(11a+b)+(a+b+c)
 9(11a+b)じゃ9の倍数なので、a+b+cが9の倍数ならば、
 3桁の整数100a+10b+cは9の倍数である。
 よって、各位の和が9で割り切れたら、その数は9の倍数である。

 

次は、「4の倍数判定法」の証明をしてみましょう。

 簡単のため、3桁の整数について考える。
 100の位の数をa、下2桁の数をbとすると、
 3桁の整数は100a+bと表わせる。
  100a+b = 4(25a)+b
 4(25a)は4の倍数なので、bが4の倍数ならば、
 3桁の整数100a+bは4の倍数である。
 よって、下2桁が4で割り切れたら、その数は4の倍数である。

 

5の倍数は必ず下1桁が0か5なので、「5の倍数判定法」の証明は省きます。
「6の倍数判定法」は「2の倍数判定法」と「3の倍数判定法」をあわせたものなので省きます。
10の倍数は必ず下1桁が0なので、「10の倍数判定法」の証明は省きます。

さて、一通りの証明をしたのですが、「7の倍数判定法」「8の倍数判定法」を紹介していません。
そもそも、そんな倍数判定法はあるのでしょうか??
実は「7の倍数判定法」も「8の倍数判定法」もあります。

「7の倍数判定法」はいろいろあるので、後回しにします。

8の倍数…下3桁が8で割り切れる。

では、証明してみましょう。

 簡単のため、4桁の整数について考える。
 1000の位の数をa、下3桁の数をbとすると、
 4桁の整数は1000a+bと表わせる。
  1000a+b = 8(125a)+b
 8(125a)は8の倍数なので、bが8の倍数ならば、
 4桁の整数1000a+bは8の倍数である。
 よって、下3桁が8で割り切れたら、その数は8の倍数である。

下3桁ってのは意外に厄介。672が8の倍数かどうか判断するのは少々大変です(^^;
まぁ、そのへんは愛嬌ってことですな。

厄介なのは7の倍数判定法です。

7の倍数…1の位から3桁ずつの群に分け、左から奇数番目の群の和と偶数番目の群の和との差が7で割り切れる。

文だけじゃ意味不明なので、具体例をあげてみます。
 26987380
    ↓(3桁ずつに分ける)
 26987380
   

 奇数番目の群の和 = (26+380) = 406
 偶数番目の群の和 = 987 = 987
    ↓
 987-406=581
581は7の倍数なので、26987380は7の倍数。

…581が7の倍数ってわかりづれぇじゃん(笑)

では、証明にいってみましょう。

 簡単のため、9桁の整数について考える。
 9桁の整数を1000000a+1000b+cとする。a、b、cは3桁の整数。
  1000000a+1000b+c = (1000000a-a+a)+(1000b+b-b)+c  ※項の補充
               = 999999a+1001b+a-b+c
               = 7(142857a+143b)+(a-b+c)
 7(142857a+143b)は7の倍数なので、a-b+cが7の倍数ならば、
 9桁の整数を1000000a+1000b+cは7の倍数である。
 よって、1の位から3桁ずつの群に分け、
 左から奇数番目の群の和と偶数番目の群の和との差が7で割り切れたら、
 その数は7の倍数である。

項の補充を途中でしたのには意味があります。
1000+1 = 7×143
1000000-1 = 7×142857
1000000000+1 = 7×142857143
100000000000-1 = 7×142857142857
1000000000000000+1 = 7×142857142857143
1000000000000000000-1 = 7×142857142857142857
上記ように1を足すか引くかすると7で割り切れるようになります。
それを利用した倍数判別法なんです。
どのように利用したかは考えたらわかるので省きます。

しかし、上の方法は3桁の数字につかえません。
というわけで3桁の数字向けの判定法もあります。

7の倍数…100の位を2倍した数と、下2桁の数の和が7で割り切れる。

これもわかりづらいので、具体例をあげてみますと、
581 ⇒ 5×2+81 = 91
91は7で割り切れますので、581は7の倍数。

証明もしておきましょう。

 簡単のため、3桁の整数について考える。
 100の位の数をa、10の位の数をb、1の位の数をcとすると、
 3桁の整数は100a+10b+cと表わせる。
  100a+10b+c = (98a+2a)+10b+c
           = 98a+(2a+10b+c)
 98aは7の倍数なので、2a+10b+cが7の倍数ならば、
 3桁の整数100a+10b+cは7の倍数である。
 よって、100の位を2倍した数と、下2桁の数の和は7で割り切れれば、その数は7の倍数である。

まだまだあります。7の倍数判定法。

7の倍数…1の位の数と10以上の位の数に分け、10以上の位の数と1の位の数を2倍した数との差が7で割り切れる。

まずは具体例から。
 581
  ↓
 581
  ↓
 58-(1×2)
  ↓
  56
56は7で割り切れるので、581は7の倍数です。
この方法もなかなか便利ですな。

では、証明にいってみましょう。

 aを10の位以上の数、bを1の位の数とする。
 すると、整数は10a+bと表わせる。
  10a+b = 10a-20b+21b
       = 10(a-2b)+21b
 21bは7の倍数なので、10(a-2b)が7の倍数ならば、
 整数10a+bは7の倍数である。
 a-2bが7の倍数ならば、10(a-2b)が7の倍数になるので、
 10以上の位の数と1の位の数を2倍した数との差が7で割り切れれば、その数は7の倍数である。

ここまでのことをまとめます。
2の倍数…下1桁が2で割り切れる。
3の倍数…各位の和が3で割り切れる。
4の倍数…下2桁が4で割り切れる。
5の倍数…下1桁が0か5。
6の倍数…2の倍数であり、3の倍数である。
7の倍数…1の位から3桁ずつの群に分け、左から奇数番目の群の和と偶数番目の群の和との差が7で割り切れる。
     …100の位を2倍した数と、下2桁の数の和が7で割り切れる。
(3桁の数のときのみ)
     …1の位の数と10以上の位の数に分け、10以上の位の数と1の位の数を2倍した数との差が7で割り切れる。
8の倍数…下3桁が8で割り切れる。
9の倍数…各位の和が9で割り切れる。
10の倍数…下1桁が0。

nの倍数の判別法などもあるのですが、またの機会ということで (^^ゞ

since 2004/3/31

【雑学見聞録へ戻る】
【TOPへ戻る】

inserted by FC2 system