No.066 画数の多い漢字たち

この世には数万の漢字が存在します。
もちろん、私たちが知っている漢字はごく一部のものだけです。

漢字にはそれぞれ画数があります。一番画数が多い漢字は何なのでしょうか?

まずは小学校で学習する教育漢字1006字からです。
小学一年生で習う漢字で、最も画数が多いのは「木」がトリプルで並んでいる「」(12画)です。
小学二年生では「」(18画)と「」(18画)。小学三年生では「」(18画)。
小学四年生では「」(20画)と「」(20画)。一気にレベルが高くなりました。

小四のころの漢字テストに「立+立+兄+兄=?」という問題がありました。
答えはもちろん「競」なのですが、私はすごく疑問に思っていました。
なぜなら、「競」の左下の部分は正確には「兄」ではないからです。
「兄」の部首は「儿」(ひとあし)です。しかし左下のはカタカナの「ル」のようになっています。
実は、「競」はもともと「言+言+人+人」だったんです。人が言い合って競ってるんです。

△篆書  △楷書

話を戻しましょう。
小学五年生では画数に進歩はなく「」(20画)です。
小学六年生では画数が減って「」(19画)と「」(19画)です。

中学生からは特に何年生でどの漢字を習うかは決まっていませんので、漢字検定で見ていきます。
漢検4級(常用漢字1300字程度)では、「」(23画)。
漢検3級(常用漢字1600字程度)では、少し減って「」(21画)と「」(21画)。
漢検準2級、2級(全常用漢字1945字)では、「」(21画)。

つまり、常用漢字の中で最も画数が多いのは「鑑」なのです。

人名用漢字(285字)では、「」(24画)と「」(24画)がトップです。
しかし、人名用漢字は旧字体も許容されているので、
旧字体を入れた場合は「庁」の旧字体の「」(25画)がトップになります。

漢検準1級(3000字程度)では、画数が多くて有名な「」(29画)がついに出てきます。
音読みは「ウツ・ウチ」、訓読みは「こもる、ふさがる」
この漢字を使った言葉はたくさんあります。
例えば「憂鬱」です。ちなみに英単語の「blue」には「憂鬱な」という意味があります。
チューリップは漢字で「鬱金香」と書きます。
血がたまることを「鬱血」、胸にたまった憤りを「鬱憤」といいます。

漢検1級(6000字程度)では、「鹿」がトリプルで並んでる「」(33画)がトップです。
互いの間がすけたまま、ざっと集まっているという意味の漢字です。
音読みは「ソ・ス」、訓読みは「あらい、うとい」
しかし、「鹿」ばっかり書いてると疲れるので、普通は「」(13画)と書きます。
あまりこんな漢字使いませんけど、一応、熟語は存在しています。

枝大葉】(そしたいよう)
あらい枝に大きな葉っぱという意味から転じて、
細かいところにこだわらないで自由に書いた文章のこと。

言細語】(そげんさいご)
おおまかな言葉と、つまらない言葉。

【自入細】(じそにゅうさい)
文章を作るときの心得。
初めは規則にとらわれないで自由に書き、
熟達するにつれて細かいところに気を配って書いていくべきであるということ。

糲】(そろう)
玄米のこと。

玉村】(あらたまむら)
明治22年(1889)から明治29年(1896)まで、静岡県には存在した村。
明治29年に引佐郡に編入され、昭和31年(1956)の合併で浜北町の一部になり、
そして、平成17年(2005)に浜松市の一部になった。
しかし、当時の名残として、今も「麁玉小学校」「麁玉中学校」がある。

【物部鹿火】(もののべのあらかひ)
日本書紀に記述が見られる継体天皇の頃の豪族。生年は不明、没年は535年。
大和朝廷で大連(おおむらじ)という役職にあたっていた。
527年には、筑紫国造磐井(つくしのくにのみやつこいわい)を征討する将軍に任ぜられ、
磐井の大和朝廷に対する反乱を平定した。(磐井の乱)
なお、古事記では物部荒甲と表記されている。

JIS漢字(6879字)では、「」(30画)と「」(30画)がトップです。
「鸞」の音読みは「ラン」です。歴史好きの小学生なら知っているはず。
浄土真宗の開祖「親鸞」でこの漢字が使われています。
ちなみにこの漢字は漢検1級です。
「鳳凰の一種の想像上の鳥」と「天子の乗り物につける鈴」という意味があります。

「驫」の音読みは「ヒョウ」です。意味は「多くの馬」です。
漢検にすら出てこない漢字なのですが、
青森県西津軽郡深浦町には「驫木」(とどろき)という地名があります。
驫木にはJR東日本五能線が通っています。駅名はもちろん「驫木駅」。
1面1線のホームを持つ木造の無人駅です。1934年12月13日に開業しました。

諸橋轍次たちが数十年かけてつくった大漢和辞典(約5万字)は、
全13巻と補巻2巻から成る大規模な漢和辞典です。
この漢和辞典での、画数トップは「」(64画)と「」(64画)です。
「龍」が4つの漢字の音読みは「テチ・テツ」です。
「口数が多い」という意味です。

「興」が4つの漢字の音読みは「セイ」。意味は不明です。

最近、話題になっている漢字が「」(84画)です。
大漢和辞典どころか、中国の書物にすら載っていない国字です。
この存在は確かではありません、噂として流れている漢字です。
音読みは「おとど」「たいと」「だいと」。

2002年4月15日の熊本日日新聞にこの漢字が載せられました。
記事によると、40年ほど前に、とある証券会社にこの漢字を姓として、
「たいと」と読む人が訪れ、名刺を残していったそうです。

もちろん今はこんな漢字は名字に使えませんが、
もしこんな名字だったら、書くのが面倒くさいのなんの。

since 2004/10/9
2006/5/20 「麁玉村」「物部麁鹿火」についての記述を追加。

【雑学見聞録へ戻る】
【TOPへ戻る】

inserted by FC2 system