No.085 化学式の六角形は何?
●三硫化タングステンさんの疑問
化学式に、6角形の物体がありますが、
傾きや、線の位置がいろいろ違うと思うのですが、
アレの仕組みはどうなのでしょう?
●フレッシュワーズの回答
あの六角形は、よく「亀の甲」と呼ばれています。
正式名称は「ベンゼン環」です。
ドイツの科学者アーガスト・ケクレ・ヴォン・スタランドニッツ(1829-1896)が考案したものです。
当時、ベンゼンの化学式はC6H6とわかっていたのですが、その構造がわかっていませんでした。
ケクレは、その構造を毎日必死に考えていました。
ここで、あなたも考えてみてください。
これを組み合わせてください。炭素原子(C)は手が4本ある4価原子です。
水素原子(H)は手が1本しかない1価原子です。
この手どうしが結びつくことができます。
ケフレは1865年のある日、構造がなかなか思い浮かばないので、
暖炉のそばでうたた寝をしました。その時、ふしぎな夢を見ました。
蛇が自分の尾をくわえてぐるぐる回ってる夢です。
その夢から、彼は「炭素原子を輪にしたらいいのでは」と思い浮かびました。
なんと、きれいに結合できました。
線が二重になっているのは、二重結合してる部分です。
この六角形はとてもきれいな正六角形ですので、この物質は安定しているといえます。
ちなみにベンゼンは燃料に用いられています。
ベンゼン環が入っている化学物質は他にもあります。
これはナフタレン(C10H8)です。防虫剤に用いられている薬品ですね。
これにはベンゼン環が2つあります。
上はベンゼン環3つのアントラセン(C14H10)、下はベンゼン環4つのテトラセン(C18H12)です。
一番左のベンゼン環のみが二重結合を3つ持ち、他のベンゼン環は2つしか持ってません。
二重結合が少ないほど、その物質は不安定になります。
ベンゼン環が横にどんどん増えていくと、どんどん不安定になってしまいます。
上はベンゼン環3つのフェナントレン(C14H10)、下はベンゼン環4つのクリセン(C18H12)です。
ジグザグに結合すると、どのベンゼン環も二重結合が3つになります。
なので、これらの物質は安定しています。
他にも色々あるのですが、あと一つだけ紹介しておきます。
この分子はケクレン(C48H24)です。ベンゼン環の考案者ケクレの名に由来します。
ベンゼン環が12つもあります。
原子によっては、正六角形ではなく、少しゆがんだ六角形に結合するのもあります。
そのような場合には構造式のベンゼン環もゆがんだ形になります。
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