No.097 影が伸びる原理は?

syouさんの疑問
 ある程度の高さから自分の手をかざして地面にできた影を、
 他の影(建物の影など)に近づけると、
 水滴同士を近づけたときみたいに、手の影が建物の影の方に伸びてくっつく、
 ってことがあって、面白いから、しばらくそれで遊んでいたことがあります。
 影が伸びるのはどういう原理で伸びているのでしょうか?
 それと、できればどのくらいの高さで伸びるのか教えてください。

ナ変さんの回答
 影は伸びません。
 縮んでいた影が元の長さに戻るのです。
 影の部分と光の部分の間には、「影がぼやけている」部分があります。
 影のぼやけは、光が回折する性質をもつことから発生します。
 
(参照:http://shigihara.hp.infoseek.co.jp/rika3811.htm

 さて「伸びてくっつく」影というのは、ぼやけている部分ではなく、
 真っ黒の完全な影の部分ではないですか?
 ぼやけていた部分が完全な影になることで、
 「影が伸びた」と感じたのではないですか?
 影が伸びる瞬間は、二つの影のぼやけが接する瞬間ではないですか?
 「ある程度の高さ」が必要なのは影がぼやけないからではないですか?

 伸びやすい高さについてですが、
 光源と物体の距離が短く、物体と地面の距離が長いほど、
 回折に幅ができ、ぼやけている部分が多くなります。
 かと言って、完全な影がないと分からなくなるので限界があります。
 完全な影が普通に見える限界の高さが、最も伸びる様に見えることになります。

フレッシュワーズの補足
 「光の回折」とは、簡単に言うと「光が障害物にぶつかったあと、障害物の影に回りこむこと」です。
 しかし、説明だけじゃ少々わかりづらいので、図解で説明します。
 
 まず、太陽光線が人間(障害物)にぶつかります。
 すると、一部の光は回折して、人間の後ろ側に回りこみます。
 そのため、影がぼやけます。

 影を近づけていきます。(図:黄枠内)
 そして、ぼやけた影が重なると、濃くなり完全な影になります。(図:赤枠内)
 これが影が伸びたように見えるタネです。

 ぼやけた影は結構、目にします。
 
 これは、手のひらを電灯の前にかざしてできた影の一部です。
 よく見ると、完全な影の部分と、ぼやけた影の部分が見られます。
 (この写真では特に親指の先で、ぼやけた影が見やすいです。)

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