No.103 キーボードはなぜこの配列?

yosさんの疑問
 キーボードは50音順でも、アルファベット順でもありません。
 なぜこのような奇妙な配列になっているのでしょうか?誰がいつこう決めたのでしょうか?
 

フレッシュワーズの回答
 キーボードの配列はタイプライターに由来します。
 初期のタイプライターは両手の人差し指だけで打つことを前提に作られていました。
 しかし、タイピストが増え、タイピング速度が上がるにつれ、
 タイプライターの紙を打つアーム同士が絡まってしまうというトラブルが起きました。

 そこで連続してあらわれることの多いアルファベット同士を離して配列しました。
 それが現在のパソコンのキーボードにも用いられてます。
 つまり、現在のパソコンでは非効率な配列なのです。

 また、わざと打ちにくい配列にしたという説がありますが、
 「er」、「ty」、「op」、「as」、「gh」などが隣同士で並んでいることから、デマだと言われています。

 また、「typewriter」という単語は全てキーボードの2段目で打てます。
 これはタイプライター業者が宣伝のときに、すばやく「typewriter」と打って、
 文字が簡単に打てることをアピールするために、打ちやすい配列にしてのです。

 そして、この非効率な配列は「クワーティ配列」といいます。
 クワーティのスペルは「Qwerty」です。
 キーボードの2段目が左から順にQ,W,E,R,T,Yと並んでいるからです。
 この配列は、1860年代にアメリカのクリストファー・レイザム・ショールズが考案しました。
 彼は教育家のA.デンスモアの「2文字組合せの頻度の研究」を参考にしました。

 1874年、クワーティ配列のキーボードがニューヨークのレミントン社から発売されました。
 1878年、クワーティ配列に特許が与えられました。

 売り出した当初は大文字だけのタイプライターで、あまり売れなかったのですが、
 シフトキーで大文字、小文字がタイプできるようになり、大量に売れました。

 1本のタイプバーに英字の大文字、小文字が二つ付いていて、
 通常は小文字がインクリボンを叩いて印字しますが、
 シフトキーを押すとプラテンがインクリボンと共に上に少し移動して、
 大文字がインクリボンを叩いて印字します。

 シフトキーを押すと、プラテンが少し移動するんです。
 移動は英語で「SHIFT」です。

 だから、「シフトキー」という名前はタイプライター時代の名残なのです。

 クワーティ配列は広く普及し、ANSI第一水準という標準的なキー配列になりました。
 しかし、アームがぶつからないようにと機械的な制限によって決められた配列です。
 なので、多少、人間には打ちにくくなっています。

 1930年代、人間にも打ちやすい配列が登場しました。
 英文の中に登場する文字の頻度の統計を取り、頻度に従って打ちやすい配列が作られました。
 その配列は「
ドボラック配列」です。 これは考案者のオーガスト・ドボラックに由来します。
 英語で書くと「
Dvorak」です。

 アメリカは1940年〜1950年代にドボラック配列への移行を考えていました。
 海軍のテストでも、ドボラック配列のほうが速いということが証明されました。
 しかし、既にクワーティ配列が普及しすぎていて、ドボラック配列は広まりませんでした。

 現在ではドボラック配列のユーザーはごく少数です。
 クワーティ配列の世で、ドボラック配列を使うと、結構厄介なことがあります。
 まず、「
CTRL+X(切り取り)」「CTRL+C(コピー)」「CTRL+V(貼り付け)」などがやりにくい。
 カーソルを「T(↑)」「F(←)」「G(↓)」「H(→)」のようにキーで打つゲームは、
 ドボラック配列ではものすごくやりにくいです。

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Q 
J 
K 
X 
B 
M 
W 
V 
Z 
Shift
     

Space

     

 母音が集中していて、非常に打ちやすい配列ですね。
 もう少し、登場が早ければ、これが現代の主流になっていたかもしれません。

 ドボラック配列は、今ではANSI第二水準と呼ばれています。

 さて、これでアルファベットの配列の話は終わりです。
 次はかな文字の配列の話です。

 かな文字の配列は大正時代、山下芳太朗が設立したカナモジカイが考案した、
 「カナモジカイ配列」に由来します。
 この配列の特徴は母音が最上段にあることです。

 そして、カナモジカイ配列を改良して、「旧JIS配列」ができました。
 最上段に母音があるなどの特徴が受け継がれました。

 「新JIS配列」は打ちにくい「旧JIS配列」の改良版ですが、
 トボラック配列のように、普及している「旧JIS配列」に負けてしまいました。

 ほとんどのキーボードが「クワーティ配列」と「旧JIS配列」を組み合わせたものです。
 最近では、親指の位置にシフトキーがくる「親指シフトキーボード」なども登場しています。
 また、機種の違いにより、多少キーの数が違う場合があります。

since 2004/9/13
2004/9/14 訂正「アメリカは1940年〜1950年代にドボラック配列への以降移行を考えていました。」

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