No.107 1/πや√πはなぜできる?
●ホウ化タングステンさんの疑問
本で、1/πとか√πの大体の値を見たりします。
無理数なのに何故そのようなことができるのでしょう?
やはり何度も概数で攻めていく方法なのでしょうか?
計算方法が知りたいです。
●中野県さんの回答
逆数や平方根は、ある数値nの値が決まっていればメカニズムは別として、
電卓的に1/nや√nで求められると仮定します。
どの位まで概数として与えると数値的に誤差がないかを
検証する実験数学の立場から見てみましょう。
1.1/πの場合
1÷3.14 ⇒0.3184713375
1÷3.1415 ⇒0.3183192742 (小数点以下3桁まで一致)
1÷3.141592 ⇒0.3183099524 (小数点以下4桁まで一致)
1÷3.14159265 ⇒0.3183098865 (小数点以下5桁まで一致)
というふうに有効桁数を電卓や表計算ソフトなどで点検していくと、
分母の桁数2ごとに、商の精度が1桁ずつ増していくことがわかります。
つまり、πが小数点以下の有効桁と商の有効桁の間には、
πの小数以下桁数をaとすると
int(a/2)+1 の関係が成り立つようです。
(intは表計算ソフトなどの小数以下切り捨て関数)
ということは、12桁の有効桁を出そうと思えば、
22桁の有効桁をもπの値が求められていれば概数として十分だと思います。
2.√πの場合
1と同様にして
√3.14 ⇒1.77200451466
√3.1415 ⇒1.77242771361 (小数点以下3桁まで一致)
√3.141592 ⇒1.77245366653 (小数点以下4桁まで一致)
√3.14159265 ⇒1.77245384989 (小数点以下5桁まで一致)
ここでも1と同様の分析となり、
有効桁数についても同じ法則が成り立つようなので、みなさんご確認ください。
平方根を求める計算(開平計算)については、作業は面倒ですが、
とても単純な方法で求められるのでπの値が一定桁数分かりさえすれば、
なんとかなると言えそうです。
以上についてOpenOfficeのカルクなどを使って検証していけば、
もっとさきの位置では違っているかもしれませんが、
当たらずとも遠からず(?)ということは分かってもらえるかもしれません。
あくまでも概数ということで良いのであれば、
ふつうに扱う数値として十分な精度が満たせるという意味で
「できる」と考えて正解と思います。
…私の感覚では小数以下8〜12桁正しければ良いと思うのです。
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