No.121 なぜ書籍の値段表記は税込でない?

漣也さんの疑問
 この前、新刊のマンガを買ったとき、ふと思った疑問です。
 なぜ、マンガの背表紙にある値段表記は税込みではないのでしょうか?
 この前、本を買ったときに背表紙の値段を見たら「390円+税金」と表記されてました。
 今、法律で、税込価格で表示しないといけないはずです。
 だから、「411円(税込み)」でおかしくは無いと思います
 これはなぜでしょうか?
 分かる方、教えてください

フレッシュワーズの回答
 
 
 確かに、書籍の価格表示は「本体価格+税」となっています。

 本は、全国どこでも同じ価格です。これを「定価」と言います。

 「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」により、
 メーカー側が、小売価格を拘束する行為は禁じられています。
 しかし、本・CDのように著作物の場合は、例外で、再販売価格維持制度が適用されます。
 (参照:疑問集No.022 本の値段は決まってる?

 さて、書籍の価格は変わることがないので、出版社は本に定価を印刷します。
 
 これは消費税3%時代の漫画の価格表示です。

 のちに政府は、消費税を5%に上げました。
 すると、出版社は全ての本を消費税5%の価格表示に変えなければなりません。
 しかも、新税率表示と旧税率表示の本が混同して売られてしまいます。

 そこで、消費税5%になったときから、消費税率が変わるかもしれないことを考慮して、
 「定価」は「本体価格(税抜価格)+税」と表記されるようになったのです。

 平成16年4月から、「総額表示義務化」が行なわれました。
 書籍出版業界4社が立ち上がり、財務大臣に対し要望書を提出しました。
 (日本書店商業組合連合会日本雑誌協会日本出版取次協会日本書籍出版協会
 要望書の内容を要約すると、以下の通り。

  平成元年の消費税3%導入のとき、
  書籍業界は、一度、店頭に出た書籍も全て、価格を変更しました。
  そのため、他の業界とは比べ物にならない多大な経費を要し、
  経費の都合上、廃棄・絶版になってしまった書籍も出てきて、問題となりました。
  なにより、新旧価格表示本の混在により、読者に不便を招く残念な事態が発生しました。

  平成9年の消費税5%への税率変更のとき、
  その後の税率変更に対応するため、「定価:本体+税」と表示するようにしました。
  これにも、前回同様の経費を要しました。

  こうした事情により、将来の価格表示の変更の度、多大な負担を迫られることになります。
  その結果、多くの出版物が流通できなくなる可能性があり、読者の不利益、著作者の出版意欲への影響、
  学術・文化の振興・普及上の損失は免れえません。

  したがって、書籍などの出版物は、消費税の総額表示義務付け規定の対象外とするよう強く要望いたします。

 書籍の価格は、このように書籍業界の多大の負担を経た末、
 今のように表示されているのです。

since 2005/2/19

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