No.123 天体の質量はどう量る?
●シェルさんの疑問
よく、惑星や恒星などの天体の質量や密度を載せた資料がありますが、
どうやって計測しているのでしょうか。
はかりではかるわけにもいかなさそうですし、
望遠鏡で見ただけでなぜ分かるのか、
不思議でなりません。
●中野県さんの回答
太陽質量の求め方 のURLを掲載しておきます。
http://www.geocities.jp/planetnekonta2/hanasi/taiyoshitsuryo/taiyoshitsuryo.html
このページでかなり詳しく知ることができます。
太陽以外の星の場合を抜粋しておきます。
金星や水星など太陽系の惑星では、
惑星に接近する小惑星や彗星の軌道の変化から質量を推定します。
小惑星は惑星にたいして無視できる程度の
非常に小さい質量しか持たないので、
惑星の傍を通り過ぎるとき重力によって軌道が変わってしまいます。
惑星の質量が大きいほど変化の度合いも大きいので質量を見積もることができるのです。
現在では惑星探査機が各惑星に接近し非常に正確に質量がわかっています。
小惑星など小さな天体では直接直径を測定できない物も多いのです。
そこで地球から見た明るさと表面のアルベド(反射能:どれくらいの光を反射するかの割合)を
地球に接近する小惑星の表面観測、隕石などから推定し、
そこから直径を見積もってさらに密度を仮定して質量を求めています。
遠いところにあるEKBOなどではアルベドの見積もりを誤ると、
直径が倍以上違うこともあるようです。
連星でない恒星の質量は、恒星の進化理論から求められます。
誕生したばかりの恒星がその後どのような進化をたどるのかは恒星の質量によって決まります。
質量の大きい恒星は青白い青色巨星から短時間で赤色巨星へ進化し
最終的に超新星爆発によりブラックホールや中性子星になることがわかっています。
太陽程度の質量の恒星では赤色巨星になったあと白色矮星になることがわかっています。
恒星の明るさ(絶対等級)と色を観測すれば、
その恒星が進化のどの段階にあるのかがわかり、
最初の質量を見積もることができます。
これには連星系から得られた質量データが理論の正確さを検証するために使われています。
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