No.125 最も古い法律は何?

Volare!!さんの疑問
 最近、決闘罪で捕まったやつがいましたが、
 決闘罪って100年を超える法律だとか言ってましたよね?
 アレより古いやつとかあるんでしょうか?
 一番古い法律ってなんですか?

ケイ化タングステンさんの回答
 法律と呼べるかわかりませんが、「ハンムラビ法典」が一番ではないかと思います。
 一応「目をつぶされたときは相手の目をつぶす、歯をつぶされれば相手の歯をつぶす」や、
 「人の奴隷を傷つけたり殺した場合はその価値の半分を払えばよい」ということが決まられている。

フレッシュワーズの補足
 ハンムラビ法典は、バビロニアの王ハンムラビが発布した世界最古の法典です。
 慣習法を成文化したもので、全部で282条にもなります。
 紀元前18世紀につくられたものなので、約3800年前の法律です。
 「目をつぶされたときは相手の目をつぶす、歯をつぶされれば相手の歯をつぶす」
 という文は、ハンムラビ法典第196条に見られ、
 「目には目を、歯には歯を」という言葉に由来しています。

フレッシュワーズの回答
 >最近、決闘罪で捕まったやつがいましたが、
 >決闘罪って100年を超える法律だとか言ってましたよね?
 まずは、決闘罪について紹介します。

決闘罪ニ関スル件(明治22年12月30日公布 法律第34号)
第一条(決闘挑応)
決闘ヲ挑ミタル者又ハ其挑ニ応シタル者ハ六月以上二年以下ノ重禁錮ニ処シ
十円以上百円以下ノ罰金ヲ附加ス
(訳:決闘を挑んだ人、挑戦に応じた人は、6ヶ月〜2年の重禁錮、10円〜100円の罰金

第二条(決闘)
決闘ヲ行ヒタル者ハ二年以上五年以下ノ重禁錮ニ処シ二十円以上二百円以下ノ罰金ヲ附加ス
(訳:決闘をした人は2年〜5年の重禁錮、20円〜200円の罰金

第三条(決闘殺傷)
決闘ニ依テ人ヲ殺傷シタル者ハ刑法ノ各本条ニ照シテ処断ス
(訳:決闘で人を殺傷した人は、その罪に応じて刑法(殺人罪、傷害罪など)で罰せられる

第四条(立会、場所提供等)
1.決闘ノ立会ヲ為シ又ハ立会ヲ為スコトヲ約シタル者ハ証人介添人等何等ノ名義ヲ以テスルニ拘ラス
一月以上一年以下ノ重禁錮ニ処シ五円以上五十円以下ノ罰金ヲ附加ス
(訳:決闘の立会人、立会いを約束した人は、どんな名義であっても、1ヶ月〜1年の重禁錮、5円〜50円の罰金
2.情ヲ知テ決闘ノ場所ヲ貸与シ又ハ供用セシメタル者ハ罰前項ニ同シ
(訳:決闘することを知っていて、決闘場所を提供した人も、前項の罰則

第五条(誹毀)
決闘ノ挑ニ応セサルノ故ヲ以テ人ヲ誹毀シタル者ハ刑法ニ照シ誹毀ノ罪ヲ以テ論ス
(訳:決闘の挑戦に応じなかったから名誉毀損した人は、刑法(名誉毀損罪など)で罰せられる

第六条(刑法との比照)
前数条ニ記載シタル犯罪刑法ニ照シ其重キモノハ重キニ従ヒテ処断ス
(訳:前のいくつかの条に書いてある犯罪は刑法によって、重い罪は重い処罰を下す

この法律は、現在有効な法律の中でも特に古い法律です。
116年も昔の法律なので、いろいろと現代では通用しないような記述があります。

決闘罪に記載されている「罰金」を見てください。
異常に安いと思いませんか?最高額でも200円です。
もちろん、昔の物価では、大金だったのです。

現在では、罰金等臨時措置法2条1項により、
条文上多額が2万円未満の場合は2万円とし、
条文上寡額が1万円未満の場合は1万円とするとされています。

だから、現在では、罰金は200円ではなく1万円となります。

しかし、刑法施行法19条2項によって「付加刑としての罰金刑」が廃止されているので、
現行法上、決闘罪では罰金は科せられません。

また、第五条の「誹毀ノ罪」は、明治13年太政官布告第36号の刑法にある罪で、
現在は存在しない罪です。
だから、刑法施行法22条によって、「誹毀ノ罪」は「名誉毀損の罪」と読み替えることになっています。

「重禁錮」も、明治13年太政官布告第36号の刑法の用語なので、
現在は、刑法施行法19条1項によって、「有期懲役」と読み替えることになっています。

こんな古い法律に引っかかる事件が最近、起きているんです。

東京都国立市に、対立している中学校2校がありました。
対立関係に決着をつけるため、中3生ら6名が立ち上がり、
2004年10月21日、東京都国立市谷保の河川敷で
決闘をしました。
事前に「決闘は素手」「相手がギブアップしたら終了」などとルールを決めていたようです。

警視庁非行集団特別捜査隊は、2005年3月2日までに中3生ら5名を逮捕、
1名を書類送検しました。

彼らが抵触した罪が、傷害罪、そして決闘罪です。

この「決闘罪」より古くて、現在も有効な法律があります。
決闘罪は、内閣によって制定された法律ですが、
内閣発足(1885年12月22日)以前の、太政官によって制定された法律があります。
太政官布告の法令形式は1896年2月26日に制定された公文式(明治19年勅令第1号)により、
廃止されました。廃止されたあとも、一部の太政官布告は有効なものとして、現在でも使われています。

爆発物取締罰則(明治17年太政官布告第32号)

褒章条例(明治14年太政官布告第63号)

裁判事務心得(明治8年太政官布告第103号)

勲章従軍記章制定ノ件(明治8年太政官布告第54号)

そして、最も古いのが...
絞罪器械図式(明治6年太政官布告第65号)

これは明治6年2月20日に公布されたもので、
絞首死刑のための装置の図式が載せられていて、
死刑執行方法が定められています。

よって、日本の現行の法律の中で最も古いのは、
132年前に定められた法律、「絞罪器械図式」だと思われます。

 

since 2005/3/18

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