No.128 蛍光灯の中身はどのように有毒?

白血球さんの疑問
 以前なにかの本で蛍光灯を割った時に出る粉は有毒だといっていましたが、
 それは一体どうしてですか?
 仮に人間が体中蛍光灯の粉まみれになったら
 その後なにかが起きるんでしょうか?

フレッシュワーズの回答
 蛍光灯のガラス管の中には、低圧の水銀蒸気が入っていて、
 そこに電流を流すと、電子と水銀が衝突し、
 253.7nmの紫外線が発生します。
 その紫外線が、ガラス管の内側に塗布された蛍光体に当たり、
 ガラス管外に、可視光線を発します。

 これが蛍光灯が光るメカニズムです。

 蛍光灯を割ってしまうと、「ボンッ」という音とともに白い粉が出ます。
 このとき、多量の水銀蒸気が大気中に飛散します。

 水銀(Hg)といいますと、常温、常圧で液体である唯一の金属元素で、
 炭素が結合して有機水銀になると、強い毒性を示します。
 有機水銀の中でも、メチル水銀(CH3Hg)は特に毒性が強く、
 水俣病の原因物質にもなっています。

 単体の水銀は、誤飲しても、消化管からはほとんど吸収されないので、
 急性中毒を起こすことはありません。
 ※一部は腸内細菌により有機水銀になるので、絶対にわざと飲まないでください。

 単体の水銀は、消化管からはほとんど吸収されませんが、
 肺からは吸収されやすいです。
 だから、水銀蒸気を吸収してしまった場合は危険です。
 肺胞から毛細血管に水銀が入り込み、
 ヘモグロビンや血清アルブミンと結合し、毒性を示します。

 最近はデジタル体温計などの普及で、
 少なくなってきた水銀体温計ですが、
 これを幼児が割ってしまい、水銀を飲み込むという事故があります。
 前述の通り、体温計一本ぐらいの水銀は誤飲しても、問題ないのですが、
 こぼれた水銀を放置するのは危険です。
 水銀は20度で気化するからです。
 気化した水銀は肺から吸収され、水銀中毒を引き起こします。

 また、水銀を触ることも控えてください。
 水銀は皮膚からも吸収されます。

 10年ほど前の電池には、亜鉛が溶け出すのを防ぐため、水銀が用いられていました。
 体温計の他にも、気圧計や血圧計にも水銀を用いたものがありました。
 有機水銀は農薬としても用いられていました。
 1973年に生産停止されたマーキュロクロム液(赤チン)にも水銀が含まれていました。

 このように昔は水銀がいろんなところで使われていましたが、
 環境保全のため、現在では水銀0の商品がほとんどです。

 そんな中、現在でも蛍光灯朱肉などには、
 水銀が用いられつづけています。

 蛍光灯を割ったときに飛散する水銀蒸気を吸収してしまうと、

 頭痛、痙攣、呼吸困難、肺水腫、気管支刺激症状、
 下痢、腹部痙攣、視力減退、流涎、嘔吐、肝不全、
 腎不全、発熱、悪寒、情緒不安定、精神不安定、
 認識障害、言語障害....

 最悪の場合はに至ります。 

 ちなみに、
 朱肉には、朱色の顔料として、硫化第二水銀が用いられていますし、
 鏡には、ガラスと土台の間に水銀が塗布されています。
 これらを燃やすと、水銀蒸気が発生するので、燃やさないで下さい。

since 2005/3/24

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